海外旅行はお好きですか?
私が初めて海外へ行ったのは、21歳の留学の時。
飛行機に乗ったのもその時が初めてでした。
長い長い飛行時間の後、異国の街の建物が、小さなブロックのように眼下に広がっているのを見て、とても興奮し、感動したのを覚えています。
初めての飛行機、初めての外国、初めての学生寮生活。
初めて尽くしで、期待でわくわくする気持ちと、未体験のことに多少の不安もあり。
思い起こせば、留学するきっかけは、ある「悔しい」エピソードでした。
好きとか得意と言える科目は、唯一「英語」だけでした。
大学受験も、英語と面接だけで受けられるから決めた外国語大学。
新しいキャンパスライフが始まり、一カ月くらいした時の事。
新任講師だったのでしょう。
ある外国人講師が、私に教室の場所を英語で尋ねてきました。
私もその場所が分からなかったという事実はさておき、答えようにも「言葉が出てこない」。
今まで得意だと思っていた英語が、まともに話せないことに相当のショックを受けました。
唯一の得意(と思っていたもの)が、この程度なんて・・・。
情けないやら、悔しいやら。
「英語の知識」を詰め込むだけで、言葉として「使う」経験が圧倒的に不足していたようです。
その悔しい出来事をきっかけに、「絶対に話せるようになる!」と決心したんです。
そこから、目的を果たすための、アンテナが立ちました。
交換留学生募集の案内に目がとまり、なんと家族に相談することもなく迷わず応募。
(親もビックリですよね。)
うまく応募試験にも合格して、留学の切符を手に入れました。
しかも、今は職を変えて、英会話講師もしています。
これは、長い人生でほんの小さな出来事に過ぎないかも知れません。
時には、自分の力ではどうにもならない不運な出来事もあるでしょう。
でも、程度の差はあれ、同じこと。
人間、悔しい思い、辛い思いをして初めて、それを乗り越えようとするエネルギーが生まれるんですね。
ピンチはチャンス。
逆境こそ人を強くする。
悔しさや苦しさを乗り越えたからこそ、何倍もの幸せや充実感を味わうことが出来る。
そう考えると、平和で安定していることだけが、必ずしも幸せとは限らない。
もし、あなたが今、何か厳しい状況にあるとすれば、それはあなたの人生を大きく変えるきっかけかもしれません。
その最中には、気づかないかもしれません。
でも、後から振り返ればきっとそうなる、と信じて立ち向かうのも一つ。
自分に起こる出来事を、その中にどっぷり浸るのではなく、客観的に見ながら行動すれば、きっと良いエネルギーに変えられますよ。
「乗り越えられるからこそ、その試練はあなたのところにやってきている」んです。
ここで、尊敬する坂村真民先生の詩を。
幸せの帽子
すべての人がしあわせを求めている
しかし幸せというものはそうやすやすとやってくるものではない
時には不幸という帽子をかぶってやってくる
だからみんな逃げてしまうが
実はそれが幸せの正体だったりするのだ
坂村真民 「幸せの帽子」より